夏バテは「脳の疲れ」の蓄積、脳が快適な温度は? 「25~27度」は身体に合わせた温度で高め
「朝起きたら疲れてるんですよ。」という患者さんとの会話で見つけた記事です。
夏バテは「脳の疲れ」の蓄積、脳が快適な温度は? 「25~27度」は身体に合わせた温度で高め
良質な睡眠をとるためには日中の行動を工夫する必要があるという
朝起きた瞬間からもう疲れている……。そんな「朝バテ」に悩む人も増えた。酷暑に体力を奪われ、在宅勤務で運動量は激減。職場の人手不足で業務や責任は増えて疲れはたまるばかり。こうした新時代の疲労に打ち勝つためにはどうすればいいか。「環境」「睡眠」のキーワードから、具体的なノウハウを取材した。
【環境】
休暇をとってホテルでリフレッシュしたつもりでも、かえって疲労がたまることがある。
「枕が変わると眠れないと言われるように、どんなに豪華で快適だとしても、初めて泊まるホテルで1泊目から安眠するのは難しいです」
初めての場所で落ち着けないのは“本能”だという。
「安全を確認できない状況では、動物は命を狙われる恐れがあります。安全で安心できる空間は深い睡眠を得る上で必須の環境なのです」
理想的な空間環境とは?
「安全・安心と並んで重要な要素が快適性です。大切なことは、身体ではなく脳にとって最適な快適空間を作ることです」
夏は暑さで脳温度が上がるため深部体温を調節する自律神経中枢が酷使される。つまり、脳の疲れの蓄積が夏バテを起こすという。
「脳にとって快適な温度は23、24度と万人共通です。ただ、筋肉量が少ない日本人は体にとっての快適温度は平均して25~27度と高め。身体に合わせた温度こそが脳の疲労を起こすのです」
そのためにはエアコンを使って鼻から冷たい空気を吸って、脳を冷やす。一方、体は冷えないように頭寒足熱を徹底し、夜は一年中、冬用布団を使う。
「自然」もキーになる。
「音は危険を知らせるシグナルですから、自然音がかすかに聞こえる状態に安心します。そよ風が吹いて、風の音がして、少しにおいもする。自然の揺らぎがある状況に癒やされます」
■夕方にスクワット10回
では、部屋で波の音を流せば、癒やされるのか?
「波の音がするのに、マンション内の白い壁紙に囲まれていては五感が一致しないため違和感を覚えます。違和感は、安心できない環境を意味します」
とはいえ、生活の中で自然を感じるのは容易ではない人も。
「コンクリートの建物では、波の音よりむしろエアコンの音の方が自然で安心できることが分かっています。『自然音』は、その場所にふさわしい音のことを言うのです」
猛暑で、体のだるさを感じたり、食欲不振や不眠に悩む人も少なくない
【睡眠】
良質な睡眠が取れているサインは、寝る前にあくびが出るほど自然と眠くなる状態だ。
作業療法士(睡眠外来の経験も豊富)によると、夜に眠くなるリズムを作るためには、日中の行動を工夫する必要がある。ポイントは二つ。「朝の光を浴びること」「夕方の体温を1日の最高温度にすること」だという。
「朝、目の奥の網膜に光が当たると、体内時計がスタートして16時間後に眠たくなります」
朝の光の浴び方は、窓から1分間、顔を出すだけ。窓から顔を出せない人は、窓際1メートル以内で5~10分過ごすだけでもいい。窓際で朝の支度をするだけでOK。タイミングは起床後できるだけ早く、遅くても目覚めて4時間以内にする。窓際にベッドを置いて遮光カーテンを開けて眠れば、目覚める前からリズムを修正できる。
もうひとつの「夕方の体温を上げる」目的は、夜に体温を下げて眠たくするためだという。
体温の上昇に伴ってパフォーマンスが上がる。朝は低かった体温が徐々に上がり、起きて11時間後を境に放熱して、パフォーマンスも下げる。
「エアコンが利いた部屋で在宅ワークをする人は、夕方に放熱せず、体温が高いままだから夜になっても眠くならない」
そんな人は夕方、スクワットを10回しよう。1分程度の運動で、汗をかき、放熱する。運動強度は軽くていいが、頻度が大事。週4日以上行うと、リズムが整うようになる。
睡眠時間や寝返りの振動を計測するウェアラブル端末もある。
「睡眠スコアが算出されますが、日中の活動と照らし合わせるとよりデータを生かせます」
ウェアラブル端末で利用したいのが「心拍数」だという。
「起床時の心拍数が低いことが、質の良い睡眠の指標です」
例えば、出張から帰ってきた日、起床時心拍数が高かったら、疲れがたまっているとわかる。3日後の朝、心拍数が下がっていたら、3日間休めば体が回復するとわかる。
枕元にスマホを置くだけで、睡眠データを記録できる睡眠アプリも人気だ。話題なのが、睡眠を計測・記録するゲームアプリ「ポケモンスリープ」だ。
「ポケモンスリープを使ってよかったと言う患者さんは、ポケモンスリープをスタートすると画面が自動で暗くなるため、スマホから離れられるメリットを感じています。生体リズムを整えて良質な睡眠を取った上で、適切な食事や運動をプラスしていきましょう」
睡眠は大事ですよね。ゆっくり寝られる環境が理想の環境だと思います。