カゼかな…?いや違う!最近増えてるらしい「秋の花粉症」とは
風邪かな?でも違うような…そんな問い合わせが増えています。こんな記事を見つけました。
鼻水ジュルジュル、目がかゆくてたまらない花粉症。花粉症といえばこれまで春のイメージでしたが、「秋の花粉症」という言葉も最近よく聞くようになりました。春だけでもつらい花粉症が秋にも猛威を振るうようになったら、気が休まるときがなくなってしまいます。すでに秋の花粉症に悩まされている人や、秋になると調子が悪かったけどもしかして花粉症だったのか、と思う人もいるかもしれません。そこで、秋の花粉症とはどんなものか、春の花粉症とはどう違うのか、そして予防や対策など、秋の花粉症の気になることを先生にうかがいました。
■ 秋の花粉症とは
◎ 秋の花粉症の原因
春の花粉症はスギやヒノキの花粉が主な原因ですよね。秋の花粉症はどんな植物が原因になっているんですか?
> 先生「すごくわかりやすいサイトがあったので紹介しますね」
そう言って教えてくれたのが「花粉症ナビ」というサイトの花粉症カレンダーのページ。代表的な花粉とその飛散時期が地域ごとでわかりやすくまとめてあって、たしかにわかりやすいです。
・春の花粉……スギ、ヒノキ、ハンノキ
・秋の花粉……ブタクサ、ヨモギ、カナムグラ
秋の花粉症はブタクサやヨモギ、カナムグラが原因みたいですね。
◎ 春の花粉症との違い
秋の花粉症は春の花粉症と何か違いはあるのでしょうか?
> 先生「症状は春の花粉症と一緒ですよ。同じアレルギー反応ですから。くしゃみ、鼻水、かゆみ、鼻閉感(鼻づまり)。それらの症状によって重症度も変わってきます」
重症度の分類もあるんですね。重症度チェックできるサイトもあるので、自分はどのくらいなのかチェックしてみては?
■ 最近よく聞くようになった理由
それにしても、少し前までは秋の花粉症なんてほとんど耳にしなかったように思うのですが、最近になってよく聞くようになったのはどうしてなのでしょうか?ヨモギやブタクサが急増したってことではないですよね。
> 先生「それは私もよくわかりません(笑)。最近秋にも薬が売れるという話を聞くので、それだけ秋の花粉症に悩んでいる人がいたということではないでしょうか。きっと昔から秋の花粉症はあったんだと思います」
花粉症は春になるものという先入観があったから、秋にその症状が出ても花粉症だと思わなかったのかもしれません。
■ 風邪との見分け方
そういえば、くしゃみや鼻水などは風邪でも出る症状ですよね。秋だと急激な温度変化で風邪をひく人も多くいます。風邪と花粉症を見分けるポイントはありますか?
> 先生「一概には言えませんが、鼻水の色は花粉症だと透明で、風邪だと黄色っぽくなります。また、風邪なら数日で治るけど花粉症の場合は1ヶ月、2ヶ月単位で続くので、長引くようなら花粉症でしょうね」
風邪で鼻水が黄色っぽくなるのは、免疫とウイルスが戦った結果なんだとか。戦ったあとの白血球やリンパ球、ウイルスが黄色く見えるそうで、膿が黄色いのも同じ理由です。
> 「ちなみに風邪と花粉症の鼻水を止める薬は同じものです。花粉やウイルスなど、本来は体の中にはない異物が花から入ってくると、防衛反応として分泌物を出します。それが鼻水で、薬はこの分泌物を抑える働きをします」
異物が入ってくるという意味では風邪も花粉症も同じなんですね。
■ 秋の花粉症の予防と対策
◎ 花粉との接触を減らす!
できればなりたくない花粉症。ならないようにする予防法や、もしなってしまっても症状を軽くする対策などは何かありますか?
> 先生「とにかく曝露量を減らすことです。つまり物理的に花粉との接触を減らすこと。春の花粉症も同じですが、なるべく曝露しないことが重要です」
なるほど。接触を減らすということは、原因の植物には近寄らないってことですか?
> 先生「理想は沖縄に逃げることです(笑)とはいえ、それは難しいと思うのでまずはマスクなどで体の中に入らないようにすることですね。たまに、薬だけ飲んでマスクをしないという人がいますが、薬は症状を抑えるだけで花粉を弾いてくれるわけではないので曝露を減らすことにはなりません」
症状がおさまっていれば大丈夫な気になってしまいますが、それではダメなのですね。
> 先生「マスクだけで曝露を減らさないと今度は薬が効かなくなってきます。マスクをするだけでも曝露量が3分の1から6分の1に減ると言われているので、マスクは絶対にした方がいいですよ」
◎ 薬とマスクと両方で
さらに、先生は花粉症で問題視していることがあるんだとか。
> 先生「産業医をしていて1番良くないなと思うのは、薬を使おうとしない人。花粉症なのにきちんとした対処をしていないと、仕事のパフォオーマンスが25%も下がるという調査があります。仕事が忙しいと病院に行く時間もないという人は多いと思いますが、薬局などに売っている市販薬でも十分効果はあるので、それだけでも使うべきですね」
生産性が25%も下がってしまったら、4日に一度休んでいるのと一緒になってしまいます。薬局であれば昼休みでも行くことができるので、仕事が大事な人はなおさら薬を使いましょう。もちろんマスクも忘れずに。
■ 花粉症を治す方法は?
花粉症は一度なってしまうとずっと付き合っていくものというイメージですが、完璧に治す方法はあるのでしょうか?
> 先生「最近は舌下減感作療法(ぜっかげんかんさくりょうほう)という治療法があります。要は曝露療法ですね。予防などでは曝露しないことが大事だと言ってきましたが、反対に曝露させ続けることで異物だと認識しないようにするという発想です。花粉症に限らずさまざまなアレルギーで行われています」
なんと!治療法があったのですね。では、それをすれば花粉症も完璧に治るんですか?
> 先生「残念ながら完璧というわけには…。うまくいかないこともあるので絶対ではないですね」
そうなんですか…。まだまだ人類と花粉との戦いは続きそうですね。とはいえ、本気で悩んでいる人は試してみる価値はあるかもしれません。
■ 秋にもしっかり対策を!
今回取材をしていて、「とにかく曝露量を減らすこと」と先生が何度も強調していたのが印象的でした。マスクは風邪やインフルエンザだけでなく、花粉症でも必須なんですね。とはいえ、予防にも必要となると、春と秋は日本中みんなマスク姿になってしまいますよね。さらに冬の風邪やインフルエンザでもマスクをつけると、夏以外はずっとマスク姿ということに……?そうならないためにも花粉症の根本的な治療法が編み出されることを祈るばかりです。
鍼灸院にも花粉症の患者さんは多く来られます。胃腸の調子が悪い人ほど症状や反応が強いような気がします。鍼灸治療で体調を整えておくと以外に症状や反応の緩和がみられると患者さんからも好評です。